ほとけさまの表情でわかること?

だんだんと暖かく…というより暑さを感じるようになってきましたが、みなさんいかがお過ごしでしょうか?

色々と切り替える季節となってきましたね。

私も最近クローゼットの奥に眠らせていた夏服を引っ張り出して衣替えを行なったり、水筒をホットティーからお水に変えたりと、夏へ向けて切り替え出しています◎

さて、今回はそんな季節の変わり目に開催している展覧会の内容をちょこっとだけブログでご紹介したいと思います!

 

現在観音ミュージアムにて開催しているのが、「御仏の表情(みほとけのおかお)― ほとけさまのきもちとは? ―」です。

こちらでは、ほとけさまの表情に注目することで、その種類や役割、仏画・仏像について分かりやすくご紹介しています。

 

 

突然ですが皆さんはほとけさまの世界にも階層や役割があること、ご存知でしたか?

私はこのことを初めて知ったとき「ほとけの世界も厳しいんだな~」と、少しショックを覚えました^^;

 

ほとけさまのランキング

上の図が、ほとけさまの種類と階層を表したものになります。

天部→明王→菩薩→如来の順に位が上がっていきます。

それぞれの種類の中で様々な名前を持ったほとけさまが存在し、役割も細かく異なるのですが、今回はこの4種類のほとけさまについてご紹介します。

この4種類、だいたいが名前の末尾に「○○天」「○○明王」「○○菩薩」「○○如来」と付くので、それによりそれぞれの種類に振り分けられます。

(「阿弥陀如来」は、如来に属すということです!)

それぞれが役割であったり、目指しているものを持ち、そうした“きもち”が表情であったり、身につけているもの、ポージングに表れます。特に表情に注目すると、そのほとけさまがどういう方なのか、何を思ってこうした表情をしているのかと、思考をめぐらすことができるので、仏画や仏像を鑑賞する上で、ほとけさまの表情に注目することは大変重要に思われます。

 

では実際に4種類のほとけさまの表情に注目してみましょう!!

まずは「天部」からです。

天部に属すのは、大黒天や吉祥天など普段は神様として扱われる方々です。

彼らは、如来や菩薩をお守りしたり、仏の道を信仰する人々の守護神として活躍するお役目を担っています。

四天王も天部に属しており、如来を中心に四方向を固めて立ち、敵となる者から怖い表情で威嚇し、如来を守っています。

長谷寺境内 四天王像(増長天)

 

また福の神として有名な大黒天もここに属すのですが、福が訪れるようにと祈る者に対し、にっこり笑顔の表情で笑いかけて福徳の神らしさが表れています。

長谷寺大黒天立像

 

次に「明王」です!

明王は、不動明王を中心とした降三世(ごうさんぜ)・軍荼利(ぐんだり)・大威徳(だいいとく)・金剛夜叉(こんごうやしゃ)の五大明王が有名です。それぞれ非常に恐ろしい表情をしており、悪い行ないをしている者を強制的に仏の道へ引きずり込んでいくほとけさまになります。

長谷寺境内 不動明王坐像

 

続いて「菩薩」です。

菩薩は、如来になることを目標に日々修行に励んでいるほとけさまで、弥勒菩薩や地蔵菩薩などがここに挙げられますが、中でも有名なほとけさまが観音菩薩になります。

優しい慈悲深い表情を浮かべていたり、如来を目指すほとけさまらしく、凛々しい表情をされているのが特徴です。

長谷寺本尊 十一面観音菩薩立像

 

そして最後に「如来」のご紹介ですが、そもそもほとけの世界で追求されるのは悟りを開くこととされ、如来はそれを成し得たことからトップに君臨しています。

如来に属すほとけさまの中で有名なのが、阿弥陀如来や釈迦如来になります。

悟りを開いた者の心は無の境地…その表情をうかがうと、無表情のお顔をされています。

長谷寺阿弥陀堂 阿弥陀如来坐像

 

このように4種類のほとけさまを見てみると、それぞれに役割であったり、目指しているものがあって、そうした“ほとけさまのきもち”が表情に表れていることをご紹介しました。

つまり、ほとけさまの表情に注目すると、そのほとけさまがどういった“きもち”でそうした表情をしているのか、どういった役割を持っているのかなど、そのほとけさまの一端を鑑みることができるのです!

 

今回の展覧会では、他にも経典類からほとけさまの表情をうかがってみたり、口を開けている仏像の表情・表現に注目したりと、違った視点からほとけさまの表情の奥深さをご紹介しています。

 

6月は境内のあじさいも大変美しいので、どうぞあじさい鑑賞と併せて観音ミュージアムにもお越しくださいませ!

みなさまのご来館お待ちしております。

長谷寺境内 あじさい散策路

 

学芸員 H