大変遅ればせながら…明けましておめでとうございます!ついに年が明け、平成も30年目を迎えましたね。
新年を迎えるといつも感慨深い気持ちになります。みなさんはいかがでしょう?
1月も後半戦ですが、長谷寺は参拝者の方々で賑わっておりますよ!!
賑わいならば観音ミュージアムだって負けていません!
現在当館では、新年にふさわしく「新春特別公開 秘仏出世大黒天 ― 長谷寺の縁起仏とともに ― 」展を開催中です。
大黒天像をはじめ、長谷寺ゆかりの縁起の良い仏像も展示しており、パワーに満ちた展示空間となっています。
ここで大黒様の歴史を少しお話したいと思います。
みなさんは大黒様の起源がインドにあることをご存知でしたか?
大黒様はインドではサンスクリット語で「マハーカーラ」と呼ばれます。
「マハー」=「大」
「カーラ」=「黒」
それぞれの言葉が意味することは上記の通りで、日本語に訳すと「大いなる暗黒の神」となります。
なんとも恐ろしく、強そうですよね…
破壊と再生を司るシヴァ神が、世界を破壊するときにこの姿になるといわれています。
画像のようにその体は、青黒色(せいこくしょく)か黒色をし、三面六臂(さんめんろっぴ)というお顔が3つに、腕が6本のお姿。
右手の第一手(だいいっしゅ)で剣を持ち、左手の第一手は切先に添える形をとっています。右手第二手で人間を、左手第二手で羊を掴み、左右の第三手で象の皮を掲げるという恐ろしい様相です。
そんな恐ろしいインドの「マハーカーラ」ですが、中国へ伝わると「大黒」と訳され、がらりと印象を変えます。それは、マハーカーラの「戦闘神」「軍神」「財福神」の3つの性格のうち、「財福神」としての性格が強調して祀られるようになったからです。
そして、その性格は日本へもそのまま伝わります。
中国からの性格がそのまま伝わっただけにも見受けられますが、日本では独自の大黒天信仰が繰り広げられます。それが大国主命(おおくにぬしのみこと)との習合信仰です(※1)。
大国主命といえば、出雲大社に祀られている有名な神様ですが、大黒天の「大黒」と大国主命の「大国」が「だいこく」という音で通ずるため、両者は一体視されるようになっていきました。そして、一体視されるようになってからは、日本人にはお馴染みのにっこり笑顔が印象的な福の神としてのお姿となっていきました。
狩衣(かりぎぬ)を着て、大きな袋を背負ったそのお姿もまさしく共通し、大国主命が大黒天に転用されたことがお分かりいただけると思います。
インドを起源とする大黒天ですが、それぞれの国の独自のスタイルでその信仰のあり方まで変容していったことがお分かりいただけたのではないでしょうか。
本展覧会では、こうした大黒天の歴史の紹介に併せ、長谷寺伝世の大黒天像を筆頭に、武装型の大黒天像なども出陳しております。
会期も終了間近に…
ぜひ年の初めに、観音ミュージアムで長谷寺の大黒様のパワーを授かりにいらしてくださいませ!
学芸員 H
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(※1)習合信仰…相異なる教理などを折衷・調和して、それを信じること。