春の特集展 長谷寺のちょっとむかし ―幕末・明治・大正・昭和―

幕末・明治・大正・昭和という激動の時代の中で、長谷観音として親しまれてきた鎌倉・長谷寺。この特集展では、近現代の長谷寺と周辺地域の移り変わりを、貴重な写真、絵図、資料、そして昭和初期のフィルム映像でふり返ります。

第1章では、幕末・明治・大正の長谷寺をご覧いただきます。長谷のシンボル、大きな茅葺の観音堂。さまざまな写真や絵葉書に登場します。しかし大正12年(1923)の関東大震災では大きな被害を受けてしまいました。
貴重な写真や資料で幕末から関東大震災までの長谷寺の様子をご紹介いたします。

明治時代の観音堂
明治時代の観音堂

第2章は、昭和初期の観音堂復興再建の一大プロジェクトを中心に展示します。
関東大震災で傾いた観音堂はしばらくの間、棒で支えるだけの応急処置が施されていましたが、昭和2年(1927)に再建が計画されました。
本格的に工事が始まったのは昭和5年(1930)。その後、昭和の大恐慌や日中戦争、太平洋戦争が勃発し国内情勢は悪化、観音堂内陣が完成したのは着工から13年後の昭和18年(1943)のことでした。
困難な時代の中で進められた観音堂再建事業の写真は必見です。

観音堂復興再建のための御用材 昭和5年(1930)
観音堂復興再建のための御用材
昭和5年(1930)
観音堂に懸けられた上屋 昭和5年~昭和18年(1943)ごろ
観音堂に懸けられた上屋
昭和5年~昭和18年(1943)ごろ

第3章では、昭和の観光パンフレットや鎌倉でおみやげとして販売されていたポストカードなどを展示し、昭和のあれこれをご覧いただけます。
その中でも一番のみどころは、昭和初期の9ミリと16ミリフィルムの映像(個人蔵)です。
全6時間以上ある映像を約20分にまとめ、映された場所・年代などの特定を行い、新たにテロップを付けました。「長谷寺と長谷のくらし」「鎌倉の風景」「鎌倉のくらし」「長谷の祭りと鎌倉カーニバル」の4テーマをお楽しみいただけます。
人々の生き生きとした暮らしや、祭りの賑やかさなど、昭和初期の活気ある生活が実感できる貴重な映像となっています。

お土産の懸仏レプリカ 昭和28年(1953)頃
お土産の懸仏レプリカ
昭和28年(1953)頃

0059.5mm映像内檀葛桜

昭和初期フィルム映像
昭和初期フィルム映像

展示のみどころ

その1 観音ミュージアム初公開の写真

その2 近現代の長谷寺をご紹介

その3 昭和初期の貴重なフィルム映像で鎌倉を再発見

福神のユニークな浮世絵「金のなる木」

現在、観音ミュージアムでは新春特別開帳として、「七福神で初笑い」を開催しています。会期中はこの期間だけ御開帳する長谷寺伝来の大黒天像(応永19年(1412)、室町時代)などの福神像の他、「笑い」をテーマにユニークな七福神の作品が公開中です。

今回ご紹介するのは、江戸時代の浮世絵「金のなる木」です。

金のなる木(かねのなるき) 江戸時代後期
金のなる木(かねのなるき) 江戸時代後期

恵比寿神と大黒天の中心にある木をよく見ると、枝の先に小判や一分銀などの金銀がなっています。また、木の幹や枝に見える部分は実は文字で描かれているのです。

しょうじき

木の一番根本の文字には「志やうぢ木(正直)」と書かれているのがわかりますか?他の部分には「あさお木(朝起き)」や「以さぎよ木(潔き)」など全部で11個の徳目が書かれています。全ての徳目が「~木」で終わっていて、とても洒落っ気が効いていますね!

この浮世絵は、「正直」を最も重要な徳として、全ての徳目を実践すれば、裕福になれることを説く教訓絵です。江戸時代においても、「正直」でいることが大切なのは現代と変わらないのですね。11個の徳目を全て知りたい方は観音ミュージアムで展示していますので、ぜひご来館ください。(展示は2月6日(月)まで。「時は金なり」お急ぎを!)

この「金のなる木」をモチーフにした浮世絵は全国に多数現存しており、「金のなる木」だけ描かれるもの、七福神全員がともに描かれるもの、商売繁盛の神である大黒天や恵比寿神とともに描かれるものなど多様な形で描かれています。また、往来物(おうらいもの・寺子屋などで使用された教科書)にも使用され、江戸の庶民はこうした「文字絵」で遊びながら文字を学んでいたようです。

また、会期中は特別企画として大黒天の「打出の小槌(うちでのこづち)」を振ることができます。この打出の小槌は長谷寺の大黒堂に長年納められていた貴重なものです。どうぞ縁起の良い小槌を振って、一年のスタートを笑顔でお迎えください!

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学芸員 U

学芸員によるミュージアムトークを開催します。

明けましておめでとうございます。
本年もどうぞ観音ミュージアムをよろしくお願いいたします。

今年も毎週土曜日に当館学芸員によるミュージアムトークを行います。
参加をご希望の方は14時までに観音ミュージアムにお越し下さい。
皆様のご参加をお待ちしております。

【ミュージアムトーク開催日】
1月
1月7日(土)14:00~  
1月14日(土)14:00~   
1月21日(土)14:00~   
1月28日(土)14:00~   

2月
2月4日(土)14:00~ 
2月11日(土)14:00~         
2月18日(土)14:00~         
2月25日(土)14:00~